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◆「あとがき」の後 ・2

......ところが2011年でしたか、あるGHS生が「『漢文法基礎』を本屋で発見した!」という驚きの情報をもってきました。授業中にタイトルの説明をするときに、当時ヤフオクで高値がついていた『漢文法基礎』に言及していたからです。実際、ご存知の方も多いかと思いますが、2010/10/13付で、もう2つのサプライズ付きの新刊が発売されていたのです。
 驚きの一つ目は、それが「講談社学術文庫」から出たことです。『漢文解析』の最後に参考文献が挙げてありますが、そのうちの『日本語はどういう言語か』という言語学の著作も同文庫です。学術的・記念碑的なカタイ著作がズラリと並ぶ文庫なのです。
 「漢文なんだから、学術文庫でも別に問題ないでしょう?」という人はいませんか?『漢文法基礎』が当時の受験生の話題をさらっていたのには、「学術文庫」ではさすがにマズい内容が掲載されていた点もあるのです……というのは当時は周知の事実でした。
 驚きの2つ目は、「学術」にふさわしく、そういうマズい部分が完全にカットされているだけでなく、当時は謎だった著者がその素性を明かした、という点です。そういう意味で、『漢文法基礎』は復活&新生したわけです。
……となると、絶版のままならともかく、現役復帰したその名称は避けねばなりません。

思案の末に....

 そこで、改めてつらつらと考えまして、そもそも主に理系のために書いたのですから、ちょっと理系的テイストも入れるといいかなということで、『漢文解析』となったわけです。確かに、こちらの方が本書の中身には相応しくはあります。
 ついでに言うと、思考訓練シリーズのタイトルは「漢字四文字」です。英文解釈、現代国語、体系化学。そして、それぞれに決まった色が割り当てられていますから、「新・漢文法基礎」と6文字になると、色はどうしようかなどと悩んでおったところだったのです。サブタイトルの「新・漢文法」というのも一応四文字ですのでタイトル候補ではあったのですが、「・」を何色にするかというのも気になりましたし、「漢文文法」はちょっとくどいし、ストレートに「漢文解釈」も考えましたが、やっばり「解釈」だと内容としっくりこないのです。

思考訓練シリーズとして

 こうやって、原点当初とは違う方向に進み、別の場所に着陸してしまった感はありますが、結果としては『医大受験』の連載と、GHSでの授業とスクラムを組む形で、本書は今年度、GHS生の正規テキスト(もちろん配布ですよ)として使用することができるようになりました。
 そして、これからは全国の読者の皆さんの声も聞けることになります。上にも述べたように、著書では色々な事情からカットした部分もありますし、GHSの授業は、文法的にも読解的にもその先へと進んでいます。そういう部分もまた、この主頁(HPのこと)で共有できたら、と思っています。

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