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◆「あとがき」の後...

『漢文解析』の「あとがき」には、漢文と中国語と言語学についての私が辿った道を簡単ながら認(したた)めておきました。ここでは、その後の話を書いておこうと思います。
 『漢文解析』の執筆開始は2008年でした。ちょうどGHSにおける教育メソッドの公開第1弾である、『思考訓練・体系化学』が出版されてまもなくのことです。
 本書を読まれた方は、たぶん文章のあちらこちらで ‘遊び’ があることに気付かれたことでしょう。それもそのはず、ホントに最初は、ただ「楽しく読める漢文エッセイ」のつもりだったのです。
 当時、出版社につとめる知り合いから「テーマは何でも良いから、ビジネスマンを含め一般の人が楽しく読めてかつためになる本を書けないか」という提案がありました。「ん〜…私製漢文法ってことで、気楽に書いてみるか、GHS生の副読本にもなるし……」というつもりで書き始めたのです。実際、最初の原稿の中に「般若心経」の一節をとりあげ、文法的に解析して直読する、なんていうコーナーもありましたし、色々な現代的・昭和的サブカルチャーのネタもちりばめられていました。

書けば書くほどに....

 ところが、書けば書くほどに句法・句形についての文法的解明が進み、気がつくと内容は文法の体系的な記述となり、センター試験を越えた大学受験用の参考書に傾いていき、一般の読み物にするにはキツくなっていきました。「それなら、とりあえず......」とGHSのテキストとして仕上げたのは、右最上段のテキストです。ver.3のものですが、それまでのバージョンには「漢文副読本」というタイトルがありました。
 そこからバージョンアップして、各単元ごとに「文法練習問題」をつけて授業でとりあげる、というようなつくりでした。これらは簡易製本で2008〜2011は毎年の授業ごとに更新してきました。そうこうしているうちに、2011年冬に『医大受験』が創刊され、そこで国立大医学部および東大理系受験生を想定した連載をすることとなり、センター試験や東大の過去問の実際の文法解析例を発表する場が与えられました。4th versionテキストからは練習問題をなくし、過去問解析例を最終章とする現在のスタイルとなったのです。

思考訓練シリーズへ

『医大受験』の連載と前後して、「これを思考訓練シリーズ」にとの話がもちあがってきました。そこでとりあえず表紙のコンセプトを描いたのが真ん中の写真です。漢文→教養→旧制一高という連想から、思考訓練シリーズの表紙として初めて東大駒場教養部をモチーフにしたデザインとしたのです。
 ただし、この写真はダミーで、ネットから適当に借用しましたし、見知らぬ人物も写り込んでいるので、正規採用写真は、育文社の専属カメラマンに撮っていただいたのです。超朝早起きして、人のいない駒場に出向き、撮影し、100枚以上の写真サンプルをとどけてくださいました。村田代表と一枚一枚吟味しでき上がったのが、再下段の現行表紙です。
 漢文に関心のある方なら、やはり気付きますよね。タイトルは当初「新・漢文法基礎」でいくつもりだったのです。もちろん、かつて(というのは昭和50年代から)Z会に入会しないと購入できなかった『漢文法基礎』(二畳庵主人)というレジェンドへのレスペスクトをこめてのタイトルです。といっても私自身は購入してなくて、友人が持っていたのを垣間みた程度で、旬報で部分的に読んだくらいでした。その後は、普通に本屋で買えるようになったのですが、すでに漢文はできるようになっていたので購入しなかったのです。そして、いつの間にか絶版になっていたので、分かる人にはワカル、このステキな響きの名称を受け継ごう!と思っておったのです。ところが......

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